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公開日:2026年2月27日

TM MEMBER 12:はしもとみおさん

イベント「彫刻家はしもとみおさんと体験!
木からつくる私だけの猫」を開催!

メインビジュアル はしもとみおさん

とうきょうの木を一緒に盛り上げてくれる、TOKYO MOKUNAVI MEMBER(TM MEMBER)の12番目にお迎えしたのは、動物の木彫り彫刻家の“はしもとみお”さん。2025年11月29日にイベント「彫刻家はしもとみおさんと体験!木からつくる私だけの猫」を開催。とうきょうの木を使った猫の彫刻と彩色を行ったイベントの様子と、イベント後のインタビューを織り交ぜてリポートします。

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木彫りの猫の材料は、とうきょうの木のヒノキ

イベント「彫刻家はしもとみおさんと体験! 木からつくる私だけの猫」をTOKYO MOKUNAVI ショールームにて開催しました。当日は、「はしもとみおさんの作品が大好き」「はしもとみおさんに会えるのを楽しみにしていた」などイベントを心待ちにしていた参加者が集まりました。

この日のイベントには、大人の方を中心に小学生の参加者も加わりました。彫刻は初めてという方が多い中、およそ3時間で彫刻と彩色を仕上げるというスケジュールです。参加者にはそれぞれ、彫刻刀とモチーフにしたい愛猫などの写真を持参いただきました。

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「苦手と思う人に心を開きにくいのと一緒で、どんな木とも仲良くなろうとする気持ちが大事」とはしもとさん。

この日のために用意された木材は、猫のフォルムに沿ってあらかじめ丸みをつけて加工した「とうきょうの木」のヒノキ。手触りがよくヒノキのいい香りがしますが、彫刻の素材としては、ヒノキは硬く少々難易度は高めだと、はしもとさんが教えてくれました。

「私の住む三重県ではクスノキがよく手に入るので、ほぼすべての作品をクスノキでつくっています。今回、人生で初めてヒノキを彫りました。想像していた以上に硬く、頑固な印象があって、ヒノキは森の長老みたいでした(笑)。『そう簡単にはわしは彫られん!』という抵抗がすごかったです。でも、木の意思に逆らわず、直感に従って彫っていくうちに少しずつヒノキが心を開いてくれて、徐々に相性がよくなっていくのが感じられ、私にとっても、いい経験になりました」

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長考するより直感を信じることが木彫りの正解!

とうきょうの木のヒノキに大まかに猫の形を描き込んだら、いよいよ彫刻刀で彫り始めます。彫ることに不慣れな参加者には、はしもとさんが実演して彫り方のコツを伝授するなど、手厚くフォローする場面が幾度も見られました。そして、その度に驚かされたのが、はしもとさんの彫るスピードの速さです。

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各テーブルを順番に見て回るはしもとさん。参加者に声をかけながら、丁寧にアドバイスします。

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「木彫りは、最初に思ったことが常に正解。『これだとやりすぎるかな?』とか、少しでも長く考えちゃうと、いい結果につながらないんですよね。自分の直感が濁ってしまうのがいちばんもったいないので、直感を信じてどんどん彫っていくのがいいです」

だいたいのフォルムができたら、最初に顔から取りかかるのがポイントだそうです。

「顔は大事だから最後にじっくり取り組もうと考える方も多いですが、最後に顔を仕上げようとすると意外と全体とのバランスが取れなかったりして、かえって手間を取るんですね。だから、大まかなフォルムができたらまずは顔をつくって、それから手足や尻尾などを彫っていくようにするのがおすすめですし、私もいつもそうしています」

顔を一度彫ったからといって、それを完成ととらえないことも大切だといいます。

「木彫りには、失敗もなければ、完成もありません。何度でも彫り直せるのが木彫りのよさなので、最初からうまくやろうと気負いすぎないほうがいい結果につながると思います。

今日は、あとちょっとのところで前足が割れてしまった方がいましたけど、バーンと割れたら、それが木からの答えです。人間はつい、それをつなごう、元通りにしようと試みるけれど、自然の中にいたら割れたものは元に戻らない。だから、木の意思に逆らわず、割れたところからまた前足をつくればいい。きっとそれが、その瞬間の正解なんです」

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彩色にはアクリル絵の具を使用。

つくりたい気持ちと道具があれば、立派なクリエイター

限られた時間の中で、集中して彫り進める参加者の皆さん。細部までこだわりたい、まだ彫っていたいという方もいましたが、いったん全員が集まり、はしもとさんから彩色のレクチャーを受けました。表情の要となる目は、最初に黄色を全体に塗り、黒で縁取りをしてから瞳の黒を入れます。手順をしっかりと教わり、それぞれの席に戻って、アクリル絵の具による彩色に挑戦しました。目に色が塗られると、木に命が吹き込まれるかのように、それぞれの猫に表情が生まれていきます。

どの作品からも愛情がたっぷり感じられます。最後は、それぞれがつくり上げた猫の作品を並べて記念撮影を行い、イベントは終了しました。

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「クリエイターにとって、いちばん大切なのは道具があること。その意味では、今日の参加者の皆さんはご自身の彫刻刀を持っているので、すでに立派なクリエイターです。手元に道具があると、自然とものづくりに対する意識が立ち上がるんですよね。たとえば、公園に落ちている枝を見ても今までは景色の一部でしかなかったのが、意識が立ち上がっていると『あの枝でお箸なら彫れそうだ』とか考えるようになるんです。

とうきょうの木が使い切れないほど育っているとお聞きしましたが、クリエイターが増えて、ここにある木は自由に持っていっていいよ、という場があれば、木の消費量は大幅に増えると思います。木の使い道を考えることも大事かもしれないけど、使い手であるクリエイターが増えることも木の使い道を増やす近道ではないかな、と私は思います」

帰り際、参加者からは「帰宅したら、もう1匹飼っている猫を彫ろう」「今日の作品はこのまま大切にして、もう一度、最初から彫ってみよう」といった声が聞かれました。はしもとさんの彫る姿やアドバイスからたくさんの刺激を受けて、この日、たくさんのクリエイターが誕生した瞬間となりました。

はしもとみおさんプロフィール画像

Profile

木彫り彫刻家 はしもとみお

三重県北部の古い倉庫にアトリエを構え、動物たちのそのままの姿形を木彫りにする。実際にこの世界に生きている、または生きていた子をモデルにし、その子にもう一度出逢えるような彫刻を目指している。各地の美術館で、木彫りの動物たちに間近で触れ合える展覧会を開催するほか、世界各地から依頼を受けての動物たちの肖像制作、フィギュアやオブジェの原型制作や動物たちのイラスト等も手がける。