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公開日:2026年3月13日

TM MEMBER 13:平岡祐子さん×TM MEMBER 14:森谷隼斗さん

「東京の森のお話とシカ肉ジビエを味わう」
食体験イベントを開催!

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2026年1月31日、ジビエハンターでシカ肉&発酵ぽけっと代表の平岡祐子さんと、東京で林業を営む株式会社山武師代表の森谷隼斗さんをTOKYO MOKUNAVI MEMBER(TM MEMBER)としてお迎えし、東京の森にも生息する鹿のお肉を使った食体験イベントを開催しました。
今回のイベントのリポートと併せてお二人のインタビューをお届けします。

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TOKYO MOKUNAVI のショールームがある新宿パークタワー内のキッチンスペース「weeeat! studio」でジビエの食体験イベントを開催。

ジビエの食体験イベントは、参加者も登壇者も個性豊か

ジビエハンターでシカ肉料理研究家でもある平岡祐子さん。本イベントでは、平岡さんが考案し「第4回ジビエ料理コンテスト」農林水産大臣賞を受賞したシカ肉料理「棒棒鹿(ばんばんろく)」をベースにした「棒棒鹿豆乳麺(ばんばんろくとうにゅうめん)」を試食してもらいました。参加者には、「ジビエ料理が好きで日本全国を食べ歩いている」、「最近、仕事で森林へ足を運ぶ機会が増えた」など、ジビエや森林とつながりのある方から、今回初めてシカ肉を食べるという方までバラエティ豊かな参加者にお集まりいただきました。

イベント当日は、ジビエハンターの平岡祐子さん、林業家で株式会社山武師代表の森谷隼斗さんの自己紹介からスタートしました。

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ジビエハンター、シカ肉料理研究家、シカ肉&発酵ぽけっと代表の平岡祐子さん。

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林業家で株式会社山武師代表の森谷隼斗さん。

平岡さん(以下、敬称略)「私はもともと金融系企業に勤めていて、29歳で猟師になりました。会社勤めをしていたころは、冷え性や生理痛など体の不調を抱えていました。体調が悪く、どうにかしたいと食生活を見直し始めたときに、野菜は生産者の顔が見えたり、オーガニックのものが手に入るけれど、お肉は同じようなルートではほぼ手に入らないことに気づきました。そして思い至ったのが、猟師だった祖父の影響で、幼少期から食べていたシカ肉でした。猟師が捕った鹿なら、どこの山で育ち、いつ、誰が捕獲したかまで全部わかる。究極のオーガニックだなと。それがきっかけで、ジビエハンターの道を歩み始めました」

森谷さん(以下、敬称略)「私は、東京の森が広がる、あきる野市の出身です。でも、大人になるまで林業についてまったく知りませんでした。転身するきっかけとなったのは、大学生のときに観たニュース番組です。将来について思い悩んでいたときにテレビで林業家のことを知り、『かっこいい!俺の道はこれだ』と思い、大学を中退して都内の林業会社で経験を積み、2018年に会社を立ち上げました」

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家庭でもジビエ料理は手軽に作れることを伝えたい

料理のデモンストレーションでは、林業家の森谷さんにもお手伝いいただき、普段使用しているチェンソーとは勝手の違う包丁を手に、緊張した面持ちで料理のお手伝いをしていただきました。

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イベントで試食した「棒棒鹿豆乳麺」と「小松菜の甘酒あえ」。塩麹や甘酒などの発酵食品がシカ肉の消化をサポートしてくれるそう。

平岡「今日の『棒棒鹿豆乳麺』に使うのは、鹿のお肉です。シカ肉は、どの山で何を食べて育ったかによって、一頭一頭、味が違います。そして、狩猟者の腕によっても味が変わります。できるだけ鹿にストレスをかけないように捕獲をしているか、血抜きを丁寧にしているかなど、精肉までの工程もすごく大事です。

私はジビエのハードルを下げて、家庭でも手軽にシカ肉を食べることを目的としているジビエハンターなので、『お山の上からお皿の上まで』をモットーに、狩猟・解体・精肉までを一貫して行なっています」

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この日いただいたシカ肉は、牛の赤身肉のような食感で、クセや臭みがなく食べやすいと大好評でした。

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栄養価の高いシカ肉が体力勝負の仕事を支える鍵

平岡さんは、狩猟期間にジビエハンターとして活動しています。また、シカ肉料理研究家として、シカ肉料理教室などを主宰するシカ肉&発酵ぽけっと代表を務め、二児の母という顔も持っています。トークセッションでは、多忙を極める毎日をシカ肉が支えてくれているというお話もありました。

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平岡「シカ肉は【高タンパク・低脂質・低カロリー】で、昔から“薬食い”と呼ばれているほど栄養価が高いんです。自分で言うのもなんですが、女性でも華奢な私がジビエハンターという体力勝負の仕事をしていても、翌日に疲れが残ることなく元気に過ごせているのは、毎日シカ肉を食べているおかげだと思っています」

森谷「山で仕事をしていて鹿は身近な存在ですが、実は、シカ肉を食べる機会は年に1回くらいしかありません」

平岡「野生動物を食べると山を歩くエネルギーを効率よく供給できるので、体が資本の林業家の方にシカ肉は本当にお勧めです。シカ肉は同じ量の牛肉と比べてカロリーは1/3以下ですが、タンパク質は約1.3倍、鉄分は2倍以上、脂肪燃焼や疲労回復、脳機能の向上などにもいいとされるカルニチンも約2倍含まれています。体力があると気力が充実して、気持ちが安定するのもメリットだと感じています」

森谷「僕は最近太ってきたので、脂肪燃焼という言葉につい反応しちゃいます(笑)」

平岡「私は料理の仕事をしていますが、太ったことがないです。シカ肉は赤身肉で脂肪分が少なく、代謝を高めてくれるので体重管理に向いています。中医学では体を温めると言われていて、食べた後に体がポカポカするのを体感する人は多く、過去には料理教室に参加した冷え性の女性が上着を忘れて帰ってしまったこともありました(笑)。私自身もシカ肉を食べるようになってから冷えや、生理痛がなくなりました」

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「ジビエハンターを増やして、ジビエのおいしさを広めたい」と平岡さん。

東京の森でも、鹿による森林への被害は深刻

「東京の森にも鹿は生息しており、鹿による植栽した樹木への被害が年々深刻化してきている」と森谷さんは言います。

森谷「鹿がものすごいスピードで増えていて、林業家の僕らも無視できない状況になっています。木の幹に、シカが角研ぎをすると、水分を吸い上げられなくなり、木が枯れてしまう場合があります。その予防策として、苗木を植えるときには、周囲に2メートルくらいの高さのネットを張り巡らせますが、ネットを背負って山を登り、急斜面に設置するのには時間も手間もかかります。また、ネットが倒れているとその隙間から鹿が入り、植えたばかりの苗木を一晩でほぼすべて食べられてしまったことがありました」

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「獣害は深刻で、対策として狩猟免許の取得も考えています」と森谷さん。

平岡「メスの鹿の寿命は15〜20年ほどで、生後1、2年から死ぬまで、毎年1頭ずつ子どもを産み、その子どもがまた産んでと倍増していく。駆除のための狩猟をしても全然追いつかないのが実情です。

だからこそ私は、“おいしい”を入り口にしたいんです。シカ肉を食べたらおいしい、次もまた食べたいとなれば、食べるお肉の選択肢にシカ肉が加わって消費量が増えますよね。食べる人が増えたら森に住む鹿が減り、結果、獣害で木を傷つけられていた林業も助かりますよね」

森谷「命に感謝して、おいしく食べることが森林環境をよくする。そういう循環が生まれたら理想的ですね」

平岡「ジビエハンターは遠い存在に思われるかもしれませんが、女性の私でも道具などを工夫することでできていますし、そんな私を見て『自分にもできるかな?』と思う人が1人でも増えて、シカ肉の裾野が広がってくれたら嬉しいです。獣害は深刻な問題ですが、『おいしくて健康になれるから食べたい!』と、ポジティブに広がっていくことを願っています」

森谷「林業に関しても同じで、『林業家って何をする仕事なの?』って興味を持っていただくだけで僕らは幸せですし、その興味の先に『地元の木を使いたい』とか『林業をやってみたい』と思う方が1人でも現れたらより幸せです」

家庭でシカ肉料理にチャレンジすることも、東京の森林環境をよくするためにできる行動の一環。そんなふうに考えられたら、私たち一人ひとりが環境を守るためにできることが増えそうです。

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Profile

平岡 祐子さん

“生きる力を育む“がモットー!

大阪市生まれ・枚方育ち。鉄砲撃ちだった祖父の影響で、幼いころからシカ肉が大好きな野生児。シカの魅力にとりつかれた“シカマニア“として、「シカの魅力をもっとたくさんの人に知ってほしい!」という思いから、狩猟者の顔が見える、シカ肉と出逢える場所『シカ肉&発酵ぽけっと』 を立ち上げ、食肉に適した捕獲技術や衛生管理の知識を持つジビエハンターとして【お山の上からお皿の上まで】狩猟・解体・精肉までを一貫して行い、【安心・安全なシカ肉をカジュアルに家庭で楽しんでほしい】と精力的に活動している2児の母。

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Profile

株式会社山武師 代表取締役
森谷隼斗さん

東京都あきる野市出身。
将来を思い悩んでいた10代後半に、ニュース番組で林業という仕事を知る。
「カッコイイ!俺の生きる道はこれだ!」と思い立ち、大学を中退して林業の道へ。
都内の林業会社で経験を積んだのちに2018年に立ち上げた㈱山武師では、東京の山林で森林整備事業を中心に活動している。
林業の魅力を現場から届けるため、SNSを活用した情報発信にも積極的に取り組んでいる。