
公開日:2025年3月19日
TM MEMBER 08:キボリノコンノさん
イベント「キボリノコンノさんと
あっと驚くアート体験」を開催!

とうきょうの木を一緒に盛り上げてくれる、TOKYO MOKUNAVI MEMBER(TM MEMBER)の8番目にお迎えしたのは、木で本物そっくりの食べ物などを作る木彫りアーティストのキボリノコンノさん。2025年2月8日「キボリコンノさんとあっと驚くアート体験」を開催。とうきょうの木を使った木彫りのミニクロワッサンキーホルダー作りを行ったイベントの様子と、イベント後のインタビューを織り交ぜてリポートします。
自由な発想で十人十色の木彫りのミニクロワッサンを作る!
今回のイベントで使用した木材は、「とうきょうの木」のヒノキ。初めて木彫りをする人でも取り組みやすいよう、事前にキボリノコンノさんが形を整えてくれた木材を用い、およそ4時間かけてミニクロワッサンを完成させました。
キボリノコンノさん(以下、敬称略)「今日のイベントでは、まさに十人十色の表現に触れることができ、本当に楽しかったです。最初に道具の安全な使い方はレクチャーしましたが、自分らしい表現を探す楽しさも味わってほしくて、作業の進め方についてはあえて細かく説明しませんでした。手順を詳細に紹介してしまうと、それが正解になってしまい、“楽しむ”よりも“正しく”やることを優先してしまいがちだからです。
僕は本物そっくりに作るのが好きだからそうしているけど、本物に似ていることが木彫りの正解ではありません。今日の参加者に、半分は本物そっくりに、もう半分は幾何学模様のようなクロワッサンを作っている方がいました。僕には思いつかない表現で、とても刺激を受けました」


失敗を“味”に転換すれば成功になる!
作業中のテーブルを回りながら、「どんどん失敗しましょう!」と明るく声をかけていたキボリノコンノさん。ご自身の作品作りでも、失敗から学ぶことは多いと言います。
キボリノコンノ「今日のイベントでも、削りすぎてクロワッサンの先端が折れてしまった方がいましたが、ひと口かじったように仕上げることで個性あふれる作品になりました。失敗に思えることも、発想の転換で失敗ではなくなりますし、それがかえって味になることは多いです。

参加者が作った、十人十色の木彫りのミニクロワッサン。

僕の作品に納豆がモチーフのものがありますが、あれはまさに、失敗から誕生しました。木彫りを始めて間もない頃、柔らかい木材に着色したら表面が毛羽立ってしまいました。彫る作業は終わっていたのでショックでしたが、ふと、これで納豆が作れるかもと閃いて木彫りの納豆が生まれました。大人になると失敗を怖がってしまうけど、失敗があるから次はこうしようという工夫が生まれ、工夫をするから上達する。失敗から学ぶとよく言いますが、その通りだと思います」

参加者からの質問には丁寧に答え、たくさん会話も楽しんでいました。



木彫り初心者におすすめなのは、国産材のヒノキ。
キボリノコンノさんが作品作りに使用する木材は、ほとんどが国産材だそうです。
キボリノコンノ「父がDIYが好きで、小学校低学年のときに父から端材の詰め合わせをプレゼントしてもらうような環境で育ち、僕自身も工作が好きな子どもでした。
2019年に初めて木彫りでコーヒー豆を作ったときは、自作した家具の端材が家にあり、国産材かどうかは意識せずに作品づくりをしていました。いくつか作るうちに、『これは木目の間隔が詰まっていて彫りやすいし、欠けにくいな』など材質の違いに気づき、最終的にいちばん扱いやすいと感じたのが、国産材のヒノキです。今日のイベントで使用した『とうきょうの木』もそうですが、管理の行き届いている森林のヒノキは木目が美しく、品質が安定していると感じています」

今日、使った「とうきょうの木」のヒノキは、長い年月を経て「伐り時・使い時」を迎えた原木から伐り出したものです。
キボリノコンノ「木彫りをしていると、木への興味が自然と湧いてきます。木彫りの材料としてはもちろん、僕は食べ物が好きなので木彫りで食べ物ばかりを作っていますが、今、住んでいる静岡県には漁港があり新鮮な魚を食べられます。その魚が育つ海の水はどこからくるのかと考えたら、川があり、その川の流れは森林へと繋がっていきます。
僕の生活に木は欠かせないものですし、その木が育ち、僕たちの生活を支えてくれている森林にも感謝の気持ちを持っています。入り口は人それぞれだと思いますが、何かをきっかけに森林に目を向ける人が増えて、そこから木彫りへ興味を持つ人が増えてくれたら僕も嬉しいです」

スライドで作品を映しながら、自己紹介をするキボリノコンノさん。

キボリノコンノさんの地元・静岡県のお茶を振る舞ってくださいました。



Profile
キボリノコンノさん
木彫りアーティスト
1988年、東京都生まれ。静岡県浜松市在住。「コミュニケーションツール」になるような作品を心がけて、「あっと驚くもの」をコンセプトに木彫り作品を制作。「溶けかけの氷」や「ヨックモックのシガール」、「納豆」など、数多くの作品がTVやSNSなどで話題に。2021年9月に木彫りを始めて以来趣味で木彫りを続け、2023年4月からプロの木彫りアーティストに転身。これまで作ってきた作品数は200作品にのぼる。