
公開日:2025年3月3日
TM MEMBER 07:長谷川ミラさん
森林循環で生まれる木材
「とうきょうの木」を見に行こう

「TOKYO MOKUNAVI」開設1周年を記念し、長谷川ミラさんをナビゲーターに迎え動画を作成しました。
動画では、林業家 中島林業が管理する森林と、とうきょうの木を取り扱う製材所である中嶋材木店を訪ね、東京の森林が抱えている課題や森林循環の必要性を取り上げています。
ここでは、東京の森林と「とうきょうの木」に触れた長谷川ミラさんが感じたことを語ってもらいました。ぜひ、動画もご覧ください。
東京の森林を歩き、「伐り時」「使い時」の大切さを実感
長谷川ミラさんは、環境問題について意見交換のできるオンラインサロンの共同代表を務め、ご自身でもたくさん取材をしていらっしゃいますが、東京の森林が目指している森林循環についても、これまでに知る機会はありましたか?
一般的な知識として、森林循環のことは知っていました。適切に伐採することで太陽の光が地表まで届き、多様な木や草花が育って森林の植生が豊かになること、そのような健全な森林がないと私たちの生活に欠かせない水にも影響が出てしまうこと。これまでに取材などを通じてさまざまな角度から森林について考える機会はありましたが、東京でも森林循環が課題となっていることを今日改めて知ることができました。

中島林業の中島大輔さんの案内で、東京の森林を訪ねる。

最初に、中島林業 中島大輔さんに東京の森林を案内してもらいました。率直に、どんなことを感じましたか?
今日は林業に従事する方しか入れない場所にも連れて行っていただきましたが、移動の途中、斜面が急でかなり体力を使いました。私が手ぶらで登っても音を上げそうな環境の中で、中島さんたちは木を伐り、運び出し、新しい苗を植えているのかと考えたら、それはもう感謝しかありません。
幹の太い立派な杉の前で、ここまで育ってしまうと伐採も運び出すのも難しくなるとお聞きして、やはり、適切な時期に木を伐って、木材として活用することが大事なのだと実感できました。


大きく育ったスギは圧巻の迫力だが、育ちすぎると伐り時を逃してしまう。


次に訪れた中嶋材木店では、中嶋将太さんから東京の森林で伐り出された木がどのように加工されて木材となるのかを教えてもらいましたが、いかがでしたか?
一本一本、木の特性を見極めながら、用途に応じたサイズにカットしていく工程を見ることができ、とても勉強になりました。天然木のいい香りも強く印象に残っています。
そして何よりも、中嶋将太さんのような若い人材が活躍していることが嬉しくもあり、同世代として心強くもありました。決して、これまでのやり方を否定するわけではなく、継承されてきた手法や価値観に若い世代が関わって新しい風を送り込むことで、わくわくする未来を形にしていけると信じているので、環境問題に関わる活動をしている私自身もとても勇気をもらいました。

中嶋材木店の中嶋将太さんに、伐り出した木の加工について教わる。
森林循環を促進するには、身近なところから想像を広げること
東京の森林には、「伐り時」「使い時」を迎えたスギやヒノキがたくさんあります。これらのとうきょうの木の活用が進むことで、森林循環がより進んでいくのですが、長谷川さんはどのようにお考えになりますか?
植えた木が育ち、使い時を迎えるまでに50年ほどかかります。つまり、今、私たちの目の前にある東京の森林を循環させることは、私たちの孫世代に豊かな自然と環境を遺すことにつながるんですよね。そうやって人と自然との繋がりという視点から考えてみると、森林循環は決して他人事ではないと思えてきます。



説明に熱心に耳を傾ける長谷川ミラさん。

もし、孫世代のためにと言われてもピンとこないなら、花粉症に悩まされる人が増えないために、と考えるのでもいいと思います。実際、私もひどい花粉症なのですが、その原因としてスギは樹齢25年を過ぎた頃から大量の花粉を放出するようになるからだということを聞いたことがあります。東京の森林で循環が進み、花粉の少ないスギへの植え替えが進んでいけば、花粉症で悩む人が減るはず。実は、森林の問題は、私たちにとってものすごく身近な問題なんですよね。
さまざまなきっかけで自分と森林との距離が縮まれば、これまで何気なく使っていた木製品への意識も変わり、そこから「とうきょうの木」の活用が広がっていくのではないかなと思います。

「森林循環を促進して、孫世代に豊かな自然を繋いでいきたい」と話す長谷川ミラさん。
東京に住む人が、東京の森林について少しでも意識を向け、とうきょうの木に関心を持ってもらうためには、やはり、現状を知ってもらうことが最初の一歩だと思います。今回、私が参加させていただいた1周年記念動画は、今日訪ねた先のお二人がとてもわかりやすく説明してくださっているので、いろんな世代の方にたくさん観ていただき、誰かの最初の一歩になってくれたら嬉しいです。

Profile
長谷川ミラ
1997年7月7日生まれ。南アフリカと日本のミックス。モデル。J-WAVEラジオ『START LINE』ナビゲーター。ロンドンでのファッション留学中に学校の課題や現地のエコ意識の高さに影響を受け、社会が抱える問題について考えるようになる。現在は、モデル活動と並行してSDGsについての情報発信を行なっている。